とらふぐの成長
陸上養殖
海のないところで海水魚を育てる新しい養殖システムです
陸上養殖とは、陸上に巨大なプールを作り、海上と隔離した状態で養殖をおこなう事です。
この陸上養殖のメリットは、水質の管理を徹底してできること、自然界に負荷をかけないことなどあげられます。
閉鎖循環式陸上養殖は、海水の成分を調整する技術によって海水の入れ替えなしでの養殖ができ、汚れを出しません。
情報提供:株式会社ジャパンアクアテック
長崎県松浦市今福町
閉鎖式陸上養殖施設
陸上養殖のメリット
自然界に負荷をかけない陸上養殖はこれからの養殖技術です
閉鎖循環式陸上養殖は水質の管理を徹底して行えるため、従来の海面養殖にはない大きなメリットがあります。
業種別生産量割合
- 赤潮、ウイルス、魚病、荒天等の外的要因を受けにくい。
- 水質の安定、飼育魚の管理が容易、防疫が可能であるため歩留が高い。
- 高いろ過能力と周辺設備により対海水重量比最大8%の魚介類が飼育できる。
- 年間を通じて水温を調整できるので養殖期間が短くなり、生産性が高い。
(トラフグの場合、約1年で約1kg の成長が可能。) - 陸上のため高齢者でも飼育作業ができる。
- 管理体制が確立し、履歴が確実に残す事ができるのでトレーサビリティー(追跡調査)が可能。
- ランニングコストの低減の為に各種対応がされている。
- 温度調整に関わる電気料金は全蓄熱方式を初めて採用し、蓄熱調整契約(深夜電力)を適用できる。
- 濾過循環に軸流ポンプを採用し、電気料金は従来の約1/4~1/5に低減。
- 水流、照度、水中音、水温の制御に「1/fゆらぎ」理論を採用し、ストレスの少ない飼育環境を整備できる。
- これによりトラフグ等は尾鰭の欠損も少なく、歯切作業も軽減。
- バックアップ体制が完備。
飼育管理システムコンピュータによる
データ管理を行なっている
閉鎖式陸上養殖飼育監視カメラ
飼育状態を常時チェック
情報提供:株式会社ジャパンアクアテック
陸上養殖と海面養殖との生産性の比較
※数値は一般的な目安であり、飼育方法や環境条件などによって変わることがあります。
とらふぐ食味試験
トラフグ食味試験の結果は、味(旨み)・食感・ゼラチン質の量・におい・加熱による変化等どれを取っても海面養殖物よりも天然物に近いとの結果が出ています。陸上養殖トラフグが完全に無毒であることを実証する事と食味試験のデータを積み重ね、陸上養殖物が食品としての品質を高く評価・認知される事によって、差別化(新ブランド化)が推進されるものと思われます。
情報提供:株式会社ジャパンアクアテック
陸上養殖の有効性と課題
総合的に天然物に近づいているが、コストなどに課題
陸上養殖とらふぐは、平均的な海面養殖とらふぐに比べ、総合的に天然物に近づいてきているという評価があります。
また、飼育環境の管理手法によって、高密度で高成長な飼育も実現しています。期待される効果として閉鎖式循環型陸上養殖であれば沿岸域に関わらず、山間部でも養殖が可能になることが挙げられます。
また、過度の肉体労働もないことから、比較的新規参入しやすい水産業とも考えられ、地域振興としての新たな産業の発掘に期待が寄せられています。
ただし、施設の初期投資や海面養殖ではほとんど掛からない電気代などのランニングコストが必要になるため、陸上養殖を始めるにあたっては、周辺環境の確認をきちんと行った上で生産性とコストのバランスを考えて取り組む必要があります。また、生物を取り扱うわけですから、その生物の生態や飼育方法を熟知した上で進めることも大切です。